2008年06月05日

Insurgency War10

Insurgency War10
Embraer A-29 Super Tucano

つづき

連投しています「Insurgency War」は、米中心で語られがちな精鋭特殊部隊や対ゲリラ戦について、切り口や視点を変える事で各国の文字通り「血で購った」技術が現代の戦術や兵器、装備に息づいている事を確認するのを目的としています。

どうしても あふりかの個人的嗜好と今までの蓄積で英国SASやローデシア、南アの記述が多くなってしまいますが、Insurgency Warを語る上で忘れてはならないのがフランスの存在です。

かつてのフランスは大陸軍を持つ強国であり海外領土を多く抱えていました。しかしWW2ではドイツによる占領などで国力は低下、終戦後の国情は散々たる状態でした。戦後復興の礎に海外領土(植民地)経営再建に乗り出しますが、英国同様多くの地域で独立、離反運動が相次ぎ再建途上の軍を派遣する事を余儀なくされます。

フランスと言う国自体が変化する事を強いられたのが「インドシナ紛争」「アルジェリア紛争」です。両紛争共に植民地再統治失敗の印象が強いのですが、フランスはこの苦杯から多くを学び各国も大きな影響を受けます。

「インドシナ紛争」「アルジェリア紛争」のフランス軍で頭に浮かぶのは「フランス外人部隊」なのですが、ここでは敢えて視点を外し「航空戦力」に焦点を当ててみたいと想います。(航空機は苦手分野ですので誤りがありましたら教えてください)

航空機における対不正規戦は恐らく陸戦よりも明確なビジョンを持っていたと考えられます。インドシナ紛争時の航空機はレシプロからジェットへの過渡期であり、国力の回復しきらないフランスは第二次大戦時に開発されたレシプロ航空機や開発間もないヘリコプターを投入、結果的に「COIN(Counter Insurgency)Aircraft」と言う新たな航空機が生まれる契機となります。

Insurgency War10インドシナ(後のベトナム、カンボジア、ラオス)は熱帯雨林の広大なジャングル地帯を有し、小規模で活動するベトミンを捕捉するのは非常に困難でした。Counter Insurgency War戦術の確立されていないフランスは戦車、航空機などの正面兵器を投入しベトミン制圧を目論みますが、後に様々な形で証明されるようにこれらは失敗に終わります。しかし、レシプロ機の投入は思わぬ効果を確認する事となります。低速で旋回滞空が可能なレシプロ機はジェット機と比較して地上偵察に適しており、同じ理由から対地攻撃にも向いていました。

当時のフランスは米国余剰兵器や現地で捕獲、接収した兵器で軍の再建を図っており、
自ずと使用した航空機はWW2期に開発された米国機が大半でした。珍しいものでは旧日本陸軍「隼」戦闘機や旧日本海軍「零式水上偵察機」が運用された記録があります。

Insurgency War10フランスはBell P-63C Kingcobraと言うWW2では全くパツとしなかった戦闘機を
米からの供与で50機インドシナへ派遣。高々度性能に劣る本機でしたが37mmモーターキャノン×1、12.7mm機銃×4と固定武装が強力であり、爆装675kgが可能な為に対地攻撃に使用が可能でした。航空兵力を有さないベトミンには脅威となります。
フランスの台所事情によるレシプロ機投入、それもWW2後期の優秀機と比較して明らかに性能の劣るものでしたが、対不正規戦に適した航空機、その運用を発見した事は後に各国の航空機開発に少なからぬ影響を与えます。

Insurgency War10ディエンビエンフーでの大敗を機にフランスはインドシナから撤退、息つく間もなくアルジェリア紛争へと引きずり込まれます。アルジェリア紛争においてフランスが投入した航空機は更に明確な姿となります。インドシナ紛争同様にフランスは多くの米国製航空機をゲリラ掃討戦に投入します。

Insurgency War10 Insurgency War10 
対地攻撃などに活躍したT-6 TexanやT-28 Trojanは米North American Aviation社製のレシプロ練習機であり、低速時の安定性がよく操縦し易いと言う特性があり地上攻撃に向いていました。なにより戦闘機や爆撃機に比べて価格、運用コストが安価である事は正面装備外である事を考えると魅力であったと思われます。

Insurgency War10 Insurgency War10 Insurgency War10
これらフランスの対不正規戦における航空機運用から得られた戦訓は、ベトナム戦時に投入されたNorth American OV-10 Bronco、ローデシア戦争でフランタンアタック(ナパーム攻撃)に使用されたCessna O2-A Skymasterなどを生み出す事となり、小型、低速な航空機でも不正規戦では充分な戦力となる事を証明しています。COIN機と呼ばれるこれらの特殊機は現在姿を消しつつありますが、最近の話題によると米PMC「BLACKWATER」社がブラジルEmbraer社製 A-29 Super Tucanoの購入を画策しているとのニュースがあり、
未だ有効性は衰えていない事を世界に示しました。






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Posted by あふりかくん  at 16:24 │Comments(0)その他

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