2008年07月07日
Insurgency War13
米CIAに支援されたニカラグア反政府組織「コントラ」の少年兵
続き
これまで英SASの系譜であるローデシア、南アの「Insurgency War」について多く触れてきましたが、大国アメリカについての記述が極端に少なかったと思います。
「大英帝国」として多くの海外植民地を抱えていたイギリスに比べ、アメリカは海外領土が少なく第二次大戦後に頻発した植民地独立運動に頭を悩ませる事はありませんでした。しかし米ソ二大国による冷戦構造は「イデオロギー」による対立を生みます。
米国が現実として「核戦争の危機」を初めて感じたのは「キューバ危機」と言われています。アメリカの喉元に当たる中央アメリカにソ連に組みする共産国家が誕生した事は以後アメリカを常に悩ませる「棘」となります。
アメリカの中庭である中南米諸国は経済的には長年アメリカの支配下にあり、政権は米国寄り、経済は持つ者と持たざる者の格差が大きく、反体制、反米思想を生む土壌は既に出来上がっていました。
キューバの共産化により中南米では反米思想が広まり共産主義と結びつきます。
中央アメリカの小国ニカラグアはキューバ革命の影響を受け生まれたサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)が、米が支援するソモサ政権を打倒し1979年、サンディニスタ革命政権が樹立されます。
「中央アメリカの共産化ドミノ現象」を危惧したアメリカは、折しも「強いアメリカ」を標榜するR・レーガン大統領政権にあり、CIA主導の「反革命組織」による「秘密戦争」が実行されます。
アメリカはCIAによりニカラグア国内の反革命勢力を組織化、サンディニスタ政権はこれを「反革命(コントラ)」と呼び熾烈な内戦を繰り広げます。
ベトナム戦争の失敗を踏まえ、アメリカは周辺国への軍事援助を増強。「共産化ドミノ現象」の抑止に資金、武器を投入します。下動画はニカラグアの隣国エルサルバドル内戦の様子。
R・レーガン大統領は中央アメリカの非共産化に強攻策で臨み、これは後にイラン・コントラスキャンダルとしてレーガン政権を根底から揺るがす事件へ発展します。これらアメリカによる対中央アメリカ政策を裏から支えたのがCIAであり、ベトナム戦争時に運用された現地徴募の傭兵軍や資金調達の為の麻薬取引、武器密輸は後々アメリカに仇なす結果を生みます。しかし、これらに関わったCIA軍事要員や、それを支えた「民間人」は「不正規戦」「秘密戦争」「低劣度紛争」と言う特殊な戦いの経験を多く積む事となり「特殊技能」を備えた者たちは形を変えて再度歴史の「裏舞台」に登場します。
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