2008年05月28日

Insurgency War6

Insurgency War6
  南西アフリカ警察軍不正規戦部隊「KOEVOET」


つづき

私たちは通常「おまわりさん」と言えば制服を着て交番にいる姿を思い浮かべるでしょう。
困った事があると頼りになる存在なのですが、国が違うと「おまわりさん」も大分変わります。

例えば国内に反政府勢力が存在し、治安騒擾甚だしいトコには軍隊並に武装した警察組織が睨みを効かします。現在でも中南米等で良く見られる第二の武装組織です。

Insurgency War6南アによるアンゴラ侵攻の前線基地であった南西アフリカ(現ナミビア)は南アによる事実上の統治に反対する勢力を国内に抱えていました。それがSWAPO(南西アフリカ人民機構)であり、その武力実行部隊PLAN(ナミビア人民解放軍)でした。

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SADF(南ア国防軍)とSWATF(南西アフリカ駐留軍)は対アンゴラ戦に投入され、南西アフリカ国内とアンゴラ国境周辺における反政府勢力の押さえ込みにはSWAPOL(南西アフリカ警察)が当たります。中でもSWAPOL-TIN(南西アフリカ警察対不正規戦部隊)現地語で通称KOEVOET(クーフォート 金テコの意味)と呼ばれる部隊は「アフリカ型特殊部隊の雛形」と呼ばれた旧ローデシアのセルーススカウツの「発展強化型」と呼べる存在でした。

KOEVOET創設にはSAP(南ア警察)特殊部隊SAPTF(南ア警察タスクフォース)が深く関与しています。白人隊員の多くは南ア警察からの移籍組であり、英SAS→ローデシアSAS→セルーススカウツの系譜に当たります。南ア警察軍の主導で組織された為か、南アが実行支配する国であったからかは判りませんが、KOEVOETは非常に好戦的な部隊として悪名を轟かせます。

部隊の指揮上層は白人が占めましたが一般隊員は現地住民が多く、特に作戦区域出身の部族毎に部隊を編成したと言われています。隊員の大半が地理や現地事情を深く理解している事はゲリラ追跡において大きな利点となりました。

Insurgency War6 Insurgency War6
KOEVOETが主に用いた戦術は、ローデシア戦争後期にセルーススカウツが用いた「クラン」と呼ばれる車両部隊によるゲリラ追跡、打撃でした。使用された車両は南ア製対地雷装輪装甲車「キャスパー(カスピール)」と「ウルフターボ」とよばれる改良型でした。偵察などで得られた情報に基づき快速を生かして敵に接近し突入、攻撃します。KOEVOETが使用した装甲車には様々なタイプの機関銃、機関砲が搭載されており、中には隊員がコネを利用し獲得した「バンパイア」攻撃機の機載20mm機関砲を積むものや「トリプルミックス」と名付けられた20mm、14.5mm機関砲、7.62mm機関銃を同一銃架に固定した重武装タイプもありました。


Insurgency War6
逃走を図るゲリラに対しては隊員が下車し足跡や痕跡を頼りに追跡を行います。旧ローデシア軍にも存在した「トラッカー」同様にハンター(現地住民の場合は生活の一部)としての経験が大いに役立ちます。


Insurgency War6
彼らはSWAPOLがブルー地の迷彩服を使用していたのに対して、SAP 2ndパターンを
元にしたと思われる独自の迷彩服を着用していました。またSAPより移籍した白人隊員は
以前所属したSAPの2ndパターン迷彩服をそのまま着用する事も多かったようです。


外征組織である軍(国防省管轄)に対して国内治安を担当する警察(内務、自治省管轄)に強力な武装組織が存在する事は珍しい事ではありません。現在でもロシアでは「内向きの軍隊」である巨大な内務省部隊が存在しています。但し、戦闘の主力として常に投入された部隊としてKOEVOETは他に類を見ない部隊であったのは事実です。



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オマケ:南ア特殊部隊が東独軍事顧問団に偽装する際などに着用した旧東独RD迷彩の「ブッシュハット」と「リザードキャップ」。デザインはポルトガル、英国の流れを汲んでおり南ア国内で製造されたもの。





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